仕様

火災時は消火活動を支え、平常時は乗用・人荷用エレベータとして、優れた性能を発揮します。

計画上のポイント

1.必要な建物

高さ31m以上の建築物は原則として、非常用エレベータの設置を義務付けられています。ただし、高さ31mを超える部分が次のような場合は設置する必要がありません。

● 階段室、機械室、装飾塔などに使用する。

● 床面積の合計が500㎡以下である。

● 階数が4階以下で100㎡以内ごとに防火区画がされている。

● 主要構造部が不燃材料で造られている。

2.仕様

火災時に消防隊の消火活動を支援する事を目的としたエレベータのため、下記の仕様が必要です。

● 積載:1,150kg以上

● 定員:17名以上

● かご内室寸法:
間口・・・1,800mm以上
奥行・・・1,500mm以上
高さ・・・2,300mm以上

● 出入口有効寸法:
幅・・・・1,000mm以上
高さ・・・2,100mm以上

● 定格速度:消防隊の乗込階から最上階まで1分以内で到着可能な速度。ただし60m/min以上

3.所要台数

高さ31mを超える階のうち、最も広い階の床面積が1,500㎡以下の場合は1台。1,500㎡を超える場合は、超えた面積の3,000㎡ごとに1台ずつ増設する必要があります。

1,500㎡以下…

1台以上

1,500㎡を超え4,500㎡以下…

2台以上

4,500㎡を超え7,500㎡以下…

3台以上

7,500㎡を超え10,500㎡以下…

4台以上

4.設置場所

屋外への出入口までの歩行距離が30m以内の場所に設置します。2台以上設ける場合は、避難場所および消防上、有効な間隔を保って配置する必要があります。

5.乗場

● 乗場には、バルコニー、外気に向かって開くことのできる窓もしくは排煙設備を設け、出入口(昇降路の出入口を除く)には特定防火設備を設けます。

特定防火設備

● 乗場は、各階(避難階を除く)において屋内と連絡していなければなりません。

● 乗場の天井・壁の地下および仕上げは不燃材料とします。

● 乗場には予備電源を備えた照明設備および屋内消火栓、連結送水管の放水口、非常用コンセントなどの消火設備を設けます。

予備電源を備えた照明設備および屋内消火栓、連結送水管の放水口、非常コンセント設備などの消火設備

● 乗場の床面積は、1台当たり10㎡以上必要であり短辺が2.5m以上として正方形に近い形が望まれます。

● 中央管理室および避難階またはその直上もしくは直下階の乗場にはかごを呼び戻す装置を設けます。

かごを呼び戻す装置

● 乗場は、他の部分から独立していることが望まれます。一般エレベータと共用の場合、非常時には特定防火設備で区画しなければなりません。

6.昇降路

非常用エレベータ2台以内ごとに耐火構造の床および壁で囲みます。(乗場に通じる出入口、機械室に通じる鋼索、電線、その他の物の周囲を除く)

7.機械室

他のエレベータの機械室と耐火構造の壁、または特定防火設備での区画が必要です。

機械室ありの場合のみ

8.電源設備・電話装置

● 予備電源が必要です。これは平常電源の停電と同時に自動的に切り替わるものとします。

● かご内と中央管理室との通話装置が必要です(インターホンが望ましい)