#4FUJITEC 
THANK YOU 
EPISODE

力を合わせ、ものづくりに向き合ってきた歴史。

フジテック社員から寄せられた、お客さまや利用者さま、協力会社さま、そして仲間との「感謝」でつながるエピソードを紹介する「フジテックありがとうエピソード」。今回は協力会社さまとの長年にわたる関わりの中で育まれた、感謝のつながりです。資材部のS.T.さんが、1985年以来のパートナーである田口鋳造所のK.さまから伺ったエピソードについて語ってくれました。

私は2021年にフジテックに入社し、資材部でエレベータの製缶・板金・機械部品などの調達業務の管理を行っています。その中で、鋳物メーカーを訪問させていただいた際の一社が田口鋳造所さまでした。
以前より前任者から「田口鋳造所さまは難易度の高いシーブ(エレベータを吊り上げる大型の滑車)製造の技術に非常に長けていて、信頼のおける取引先の中の一社だよ」と聞いていました。その後、田口鋳造所のK.さまと対面した際に、実はその技術はフジテックとともに磨いてきたものだと教えていただきました。

田口鋳造所さまとの出会いは40年近く前、K.さまがまだ若手だった頃にさかのぼります。当時フジテックと取引のあった企業が鋳造事業から撤退することになり、それまで蓄積してきた鋳造技術のノウハウを田口鋳造所さまが引き継ぐことになりました。そこで4〜5年ほどかけて技術を継承しつつ、当時のフジテックが新たな品質向上策として、シーブの受入れ検査規定の確立を目指していたことから、フジテックの技術開発部や当時の資材部長とともに協力して取り組まれたそうです。

また、その一環として、鋳造工学会という大学や企業による鋳造技術の研究発表会に一緒に参加したとのことで、「こうした機会に積極的に時間を作って参加し、最新知識を得ることが大切ですよ」という資材部長の勧めも大きかったそうです。「発注側の担当の方が、より深い知識を得ようと学ばれる真剣な姿勢を目の当たりにして、私自身も深い感銘を受けました」と、K.さまは今でも強く印象に残っているようでした。

また、専門的な知識習得に加えて、各大学の先生方と親睦を深めるきっかけになり、人の輪が広がっていったことが大きく、以前より一歩も二歩も先を目指すことが可能になったそうです。
「受入れ検査規定について、フジテックさんからはレベルの高い質問が来るので、安易な回答はせず文献を調べたり、その道のプロフェッショナルに質問したり、場合によっては評価試験をするなどして期待に応え、ともに技術力を高めていくことができました」とK.さま。技術力向上をきっかけに他社からの新規受注も増えるようになったそうです。
私が田口鋳造所さまを訪問した際にも「こうしたきっかけを与えてくださったフジテックさんに大変感謝しています」とあらためてお礼の言葉をいただき、互いに厚い信頼関係を築いてきた歴史を深く感じるお話でした。

こうした田口鋳造所さまとフジテックの先輩方による長年の取り組みのおかげで、現在でも研究開発した技術の信憑性の確認や実証実験の依頼など、踏み込んだ交流ができる協力会社さまの一つとして、頼りにさせていただいています。図面通りの仕様や納期の話だけではなく、少しでもいいものを作りたいという、前向きな姿勢でともに“ものづくり”ができる関係は大変ありがたいです。
「超高層用エレベータなども増え、求められる技術レベルがどんどん上がっていく中で、しっかりと応えていくこと。また、世代が変わっても技術を受け継いでいくために、再現性を高める取り組みも進めています」(K.さま)
加えて「進化していくエレベータ・エスカレータに対応できる鋳物を提供できるように、これからも日々活発なコミュニケーションを取り、少しでも貢献できればと考えています」とお話をいただき、今では当たり前のように供給いただいているものが、多くの積み重ねの中で進化して現在に続いていることに感謝しています。

40年近くにわたる技術の蓄積を継承し、さらに未来へ成長させていくため、私自身これからも協力会社さまと力を合わせ、エレベータの進歩に貢献していきたいと思います。

今回のエピソードを語ってくれた方

資材部
S.T.さん

編集後記

インタビューの中で、田口鋳造所さまが鋳造するシーブの技術力の高さについて話題になりました。エレベータはシーブ(エレベータを吊り上げる大型の滑車)にロープを掛けて吊り上げますが、その際にこすれてシーブが摩耗してしまいます。それを抑えるためシーブ表面の硬度が重要になり、鋳造欠陥の“巣”を発生させない高い技術が求められるそうです。「田口鋳造所さまはこうした鋳造技術のレベルが高く、なおかつ緊急対応にも非常に協力的だと前任者から伺っていました。それがフジテックの先輩方とともに築き上げたものだと知り、身の引き締まる思いです」(S.T.さん)
取引関係で終わらず、切磋琢磨して技術を高め、互いの成長に感謝しながらエレベータ・エスカレータの未来を切り開いていく。人と人とのつながりが技術革新を生みだすという、フジテックの普遍的な信念が伝わるエピソードです。