従来の群管理システムでは、乗場呼びが登録されてから、エレベータが応答するまでの予測応答時間を評価指標とし、呼びの割り当てを行っていました。
しかし、この予測応答時間は、最初に乗場呼びを登録した人の待ち時間でしかなく、理想的には将来発生する利用者を含む、乗客全体の待ち時間を評価する必要があります。
フジテックでは、過去の学習データから推定した各階・方向別の乗客の到着率を基に、将来にわたる個々の乗客の待ち時間を仮想的に評価して群管理制御を行う「仮想乗客最適化方式」を新たに採用しました。
「仮想乗客最適化方式」では、既に乗場呼びが登録されている階に後から到着した乗客や、乗場呼び未登録階で将来発生する乗客を確率的に推定して、乗客の待ち時間を総合的に評価します。
これによって、ビル全体の交通状況を的確に反映したエレベータの運行制御が可能となり、1日の全乗客の平均待ち時間を最大で10%※短縮することができます。
当社従来比。高層マンションにおける1日の交通を再現したシミュレーションの検証結果によります。オフィスビルでは最大5%の平均待ち時間短縮となります。乗客の平均待ち時間短縮の効果は、エレベータの構成や交通状況によって異なります。
FLEX-NX300は、大規模ビルに適した「エレベータ群管理システム」です。
群管理制御装置は、ニューロ群管理部、ファジー群管理部、仮想乗客最適化部を搭載した知能コンピュータと、2つのスーパーバイザーコンピュータとで構成されています。
これらのコンピュータは、それぞれが高速処理性能と高信頼性を備えています。
ニューラルネットを活用し、様々なビルの交通状況に適した制御ルールを自動的に学習する、先進の群管理システムです。
ニューラルネットは、人間の脳の働きをモデルにしており、最適なエレベータの割り当てを、自ら学習することができます。
これにより、エレベータの到着予報精度を大幅に向上させます。
テナントの入れ替わりや入居階編成替えにより、交通需要が変動しても、プログラムを変える必要はありません。
ニューラルネットには自己学習機能があり、想定していない状況に出会っても、エレベータを稼働させたまま、ニューラルネットの自動修正を行います。
将来発生する乗客を含めて、待ち時間を確率的に評価する「仮想乗客最適化方式」の採用により、群管理制御における待ち時間予測精度を高め、エレベータの待ち時間を更に短縮します。
通常は、知能コンピュータとスーパーバイザーコンピュータIが連携して、ニューロ群管理制御を行っています。
また、バックアップ体制として、スーパーバイザーコンピュータⅠに異常があると、スーパーバイザーコンピュータⅡと連携し、ニューロ群管理制御を継続します。
ニューロ群管理制御は、群管理エキスパートの知識を活用して割り当て号機を決定する「ファジー群管理部」と、ファジー群管理部の割り当て号機を修正し、より最適な割り当て号機を決定する「ニューロ群管理部」とで構成されています。
乗場呼びが発生した場合、「ファジー群管理部」は、統計解析学習機能と知識ベース、および「仮想乗客最適化部」で推定された待ち時間評価指標を基に、適切なエレベータを推奨し、「ニューロ群管理部」に送ります。「ニューロ群管理部」では、人間の脳と同じように知識を獲得するニューラルネットにより、割り当て号機の補正を行います。
このように、2つの群管理部が補完・連携しながら、最適なエレベータを割り当てます。
FLEX-NX200/NX202/NX201は、中規模ビルに適した「エレベータ群管理システム」です。
群管理制御装置は、ファジー群管理部と仮想乗客最適化部を搭載した知能コンピュータと、スーパーバイザーコンピュータ(FLEX-NX200/NX202は2つ)で構成されています。
ファジー理論を応用し、群管理エキスパートのノウハウを搭載することによって、効率的な群管理制御を行います。
ファジー群管理制御は、ビルの交通需要を時間帯ごとに学習していく学習機能や最適なエレベータ制御に関する知識を蓄えている知識ベースを備えています。
これにより、乗客の平均待ち時間を短縮するとともに、エレベータの到着予報精度を一層向上させます。
将来発生する乗客を含めて、待ち時間を確率的に評価する「仮想乗客最適化方式」の採用により、群管理制御における待ち時間予測精度を高め、エレベータの待ち時間を更に短縮します。
乗場ボタンを押すと同時に、どのエレベータが到着するかを即座に案内する「即時予報」を採用しています。
通常は、知能コンピュータとスーパーバイザーコンピュータIが連携して、ファジー群管理制御を行っています。
また、バックアップ体制として、スーパーバイザーコンピュータIに異常があると、スーパーバイザーコンピュータⅡと連携し、ファジー群管理制御を継続します。
FLEX-NX201では、スーパーバイザーコンピュータIに異常があると、各エレベータが連携して、簡易的な群管理制御により運行を継続します。
FLEX-NX202/NX201は、FLEX-NX200と同等の群管理性能を持ちながら、省スペースを実現しています。マシンルームレス機種などで、群管理盤設置スペースの確保が困難である場合に適しています。
FLEX-NX202/NX201では、以下の機能に制限があります。
FLEX-NX100は、比較的ビル内の交通量の少ない小規模ビルに適した「エレベータ群管理システム」です。
乗場呼びが発生すると、各エレベータの位置や運転方向から、最短時間で応答できるエレベータを選びます。
たとえその後、エレベータの運行状態が変化しても、その変化に応じて柔軟に対応。待ち時間が最小のエレベータを割り当て、効率の良いサービスを行います。
即時予報は行いませんが、到着予報灯でエレベータの到着を知らせることができます。
スーパーバイザーコンピュータに異常があると、各エレベータが連携して、簡易的な群管理制御により運行を継続します。
将来発生する乗客を含めて待ち時間を確率的に評価することによって、群管理制御における待ち時間予測精度を高め、エレベータの待ち時間を短縮します。
FLEX-NX100には適用しません。
ニューロ群管理部が持つ自己学習機能により、プログラムを自分で修正しながら、最適なエレベータを割り当てます。これにより、到着予報精度を大幅に向上させます。
FLEX-NX200/202/201/100には適用しません。
ファジー群管理部の推奨に修正を加えて学習させることにより、ファジー群管理部より性能の良い群管理アルゴリズムをニューロ群管理部が自動的に獲得します。
FLEX-NX200/202/201/100には適用しません。
各ビルの交通状況に対して、最適な割り当てができるように、ニューラルネットを自動調整します。
FLEX-NX200/202/201/100には適用しません。
毎日の各時間帯ごとの乗客や発生頻度、かご呼びへの遷移状況などを、長期的な学習統計データとして分析・蓄積し、交通需要の予測に利用します。
FLEX-NX100には適用しません。
エキスパートシステムにより、ニューロ割り当てを監視。もし、異常があった場合は、ニューラルネットを再構築します。
FLEX-NX200/202/201/100には適用しません。
人工知能を活用し、群管理エキスパートのノウハウを盛り込むことにより、効率的な群管理制御を行います。
FLEX-NX100には適用しません。
戸開き時間をきめ細かく調整。エレベータの間隔を均等に保つことにより、特に混雑時の到着予報精度を向上させ、待ち時間を短縮します。
FLEX-NX100には適用しません。
乗場ボタンを押すと同時に、ホールランタンとチャイムでサービスエレベータを案内します。
FLEX-NX100には適用しません。
FLEX-NX300/200/202/201では、出勤時、基準階からの乗客が集中する状況に対応して、自動的に到着間隔を調整して効率良くサービスを行い、輸送効率を高めます。
また、FLEX-NX100では、あらかじめスケジュール管理された運転に基づいて、効率良くサービスします。
FLEX-NX100は、有償付加仕様となります。
昼食時前半は、エレベータの呼び割り当てを分散させ、満員通過の発生を抑えます。そして昼食時後半は、乗客の集中する階を優先したサービスを行います。
FLEX-NX100には適用しません。
退勤時など、基準階への下降客の多いときに効率良くサービスして、輸送効率を高めます。
FLEX-NX100は、有償付加仕様となります。
FLEX-NX300/200/202/201では、閑散時、エレベータを基準階に復帰させるとともに、エレベータを自動的に分散して待機させ、次に発生する乗場呼びに備えます。また、省エネルギーの立場から、無駄な運転を制御します。
一方、FLEX-NX100では、各エレベータをあらかじめ指定された階に分散して待機させ、次に発生する乗場呼びに備えます。
FLEX-NX100は、有償付加仕様となります。
万一、エレベータが故障した場合、そのエレベータを自動的に群管理から切り離します。そして、残ったエレベータで効率良く群管理制御を行います。
特定の1台を群管理から切り離し、かご呼びにのみ応答する単独運転ができます。
エレベータのサービスゾーンが異なる場合、すなわち特定のエレベータだけが地下階や屋上階をサービスするというように、サービス階が不揃いの場合でも、1つのエレベータ群として群管理制御を行います。
この運転方式では、エレベータのサービスが低下する場合があります。
群管理主機能の故障・点検時にも基本的な割り当て機能を維持します。
機械室に設置されたコンピュータの端末から、エレベータの監視機能が利用できます。
FLEX-NX202/201/100には適用しません。
交通需要が急増する出勤時などには、エレベータを高層と低層に分けて、各ゾーンを集中的にサービスし、輸送能力を高めます。
FLEX-NX100には適用しません。
行先予約案内システムとの併用はできません。
出発基準階を、例えば出勤時は地下階に、平常時にはロビー階に、というように切り替えることができます。
FLEX-NX100には適用しません。
群管理するエレベータ群の内、その一部のエレベータを車いす兼用エレベータとすることができ、戸開き時間を通常より長くします。(約10秒)
管理人室などにエレベータごとのパーキングスイッチを設け、任意のエレベータを自動休止させることができます。
ロビー階の受付や特別階に設けられたVIP専用ボタンを押すことにより、特定のエレベータ1台を群管理から切り離し、単独運転とすることができます。
乗客を目的階に運び終えると、自動的に群管理に復帰します。
機械室とLAN接続すれば、ビル内でも監視機能、交通データ収集・解析機能が利用でき、更に高度なコマンド機能が利用できます。また、複数のエレベータ群を監視制御できます。
仕様 | FLEX-NX300 | FLEX-NX200 FLEX-NX202 FLEX-NX201 |
FLEX-NX100 |
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仮想乗客最適化方式 | - | ||
行先予約案内システム | ※1 |
- | |
ニューロ割り当て | - | - | |
自己修正式初期学習 | - | - | |
オンライン適応学習 | - | - | |
統計解析学習 | - | ||
自己診断機能 | - | - | |
ファジー群管理制御 | - | ||
到着間隔制御 | - | ||
即時予報 | - | ||
出勤時運転 | |||
昼食時運転 | - | ||
退勤時運転 | |||
閑散時運転 | |||
分割急行運転 | ※2 |
※2 |
- |
出発基準階切り替え | - | ||
故障エレベータ切り離し | |||
車いす兼用運転 | |||
専用運転 | |||
パーキング運転 | |||
VIP専用運転 | |||
停止階不揃い運転 | |||
割り当てバックアップ | |||
機械室端末 | ※1 |
- | |
ネットワークリモート端末 |
1 FLEX-NX202/NX201には適用されません。
2 行先予約案内システムとの併用はできません。