長周期地震動や強風による建物の揺れが原因で、エレベータのロープやケーブルなどの長尺物に、振幅の大きな振れが生じることがあります。
このような場合、ロープ類の引っ掛かりや衝突などにより、昇降路内機器やロープ類が損傷し、エレベータの正常運行に支障を来すことになります。
「長周期地震時管制運転」は、従来の地震管制運転で設けられる地震感知器とは別に、長周期振れ感知器を設け、ロープ類の振れのレベルを推定し、それに応じて管制運転を行うものです。
これによって、エレベータが非常停止して閉じ込めなどが発生する前に最寄階に停止し、乗客の安全を確保するとともに、ロープ類の振れが大きい状態で運転を継続して、損傷被害が拡大することを防止します。
振れの感知と判断方法
「長周期地震時管制運転」では、エレベータ機械室床の振動加速度を観測しています。エレベータ機械室床の振動によってロープ類が振れ、その振れ幅・周期特性・継続時間などから、ロープ類の揺れを推定します。
機械室の振れが大きい場合だけでなく、機械室の振れが小さくても、継続時間が長いためにロープ類の振れが増大する場合も含めて、推定・判断します。
ロープ等の長尺物の「引っ掛かり防止」と「振れの抑制」で物的被害を最小化し、早期復旧につなげます。
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